鮭の子

子供の頃、夏休みや冬休み、よく旅行に連れて行ってもらった。 海や山、都会では味わえないような自然に囲まれ存分に楽しんでいた。
しかし、帰りの列車の中、終着駅(東京駅や上野駅)が近づき、終点を知らせる音楽が流れる。 窓の外は、煌々と明かりのついたオフィスビル、巨大なネオンサイン、信号待ちの車のランプ。 郊外の真っ暗な夜とは別世界。 しかしその光の洪水を見ると、ものすごく安心した。 今でも、それは変わらない。
やはり住み慣れた地の愛着は強いのだと、妙に納得する。

現在は結婚して子供も出来、都心から少し離れた荒川のそばに住んでいる。 東京の暴力的な明かりから少し遠ざかったとはいえ、それほど大差のない地である。
ウチの子供達は旅行から帰り途、旅の疲れで、しばらく電車に揺られていると眠くなり、静かになってくる。 しかし、自分の家、臭い荒川に近づく毎に元気になってくる。 あと3駅、あと1駅。どんどん眠気が取れてくる。 まるで匂いで、家が近づいているのが分かるかのようだ。
なんか、サケみたい。

(2008.12.1)